ようやく決済

長い道のりだった…。

まさかこんなに長引く案件になろうとは。

物件として取り組み始めたのが、昨年も終わりを迎えるころだった。

年が明けてから現調、役所調査を行い、遅くとも3月末までには片付く案件だと見積もっていた。

ところがである…。

今回の購入者が離島に赴任中だったことも長期化の要因となった。

休暇を簡単には取ることができないこともあり、上京できるのは早くて5月になるとのことで、しばし休戦となった。

さらに、新型コロナである。

4月から緊急事態宣言が始まり、17日からは在宅勤務が始まると、5月上京ができなくなった。そろそろ農地転用の手続きをと思っていた矢先に、書類のやり取りが売主、買主とも郵送で行わざるを得なくなり、更に時間がかかる…。

売買契約の締結の際も、その前の重要事項説明で暗礁に乗り上げる。なぜなら重要事項説明は宅建業法で対面で行うよう定められているからだ。

仕方なく、IT重説の社会実験の登録事業者になることにし、申請を出した。6月に認められ、IT重説の為の要件を満たす書類を余分に作成し、7月はじめに無事にネット経由での重説を執り行った。そのまま売買契約を済ませたが、今度は移転登記に本人確認が必要とのことで、またもや日程の調整。司法書士に出張してもらって、売主の自宅を訪問し、買主は決済当日の確認となった。

そして、その決済日が今日だった…。

ところが、落とし穴は己の中にもあった。

念には念をいれて下準備をしたが、どういうわけか、決済場所までの電車でのルートを間違えて記憶していたために、間違った電車に乗ってしまったのだ。

焦った。

最悪だ!約束の待ち合わせ時間に間に合わない…。

何とか次の電車に乗れば、開始4分前に最寄り駅に付くが、大事な決済なのに時間ギリギリに付く仲介人ではその役目を果たしていない。

仕方なく、乗り換え途中で関係者にお詫びの電話を入れた。

もちろん、罵られるようなことはないが、むしろ遠路はるばる来てもらって申し訳ないとの気持ちで返されたが、最後の最後に却ってバツが悪いものである。

最後の最後まで、様々な壁が立ちはだかった物件だっただけに、無事決済が終わった時には、久しぶりに晴れ晴れとした達成感のようなもの満たされた。

「一つで、こんなにも内容盛沢山の取引はそうそうないだろう」

反省するところは反省し、次回に活かすということで総括とする。