地権者との話のなかで

とある住宅展示場が閉鎖される情報をキャッチし、いつののように地権者を割り出して訪問した。

高齢の女性が出てきた。

「こんにちは…」

訪問主旨を伝えると、こんな時期にもかかわらず全く気にもせず、奥にいたご主人を呼びだしてくれた。

ご主人も、これまた普通に対応してくれたが、閉鎖されるという話は寝耳に水だったようで、かなり驚いた様子だった。

この方は専業農家だが、父親の所有地がたまたま駅の新設を伴った区画整理に入り、駅前の土地を換地されたことで、土地を貸せるようになっとてもラッキーな方だった。

訪問した経緯を説明して、所有地を借りたい商業テナントがいるので、もしまだ後継テナントが決まっていなければ紹介したい旨など、土地の有効活用の内容をひととおり伝えると、だいたい相手方から詳しく当時の経緯などを話してくれるのだ。

今回は、農家の方らしいやり取りだった。この方は不動産に関しては全く無知で必要以上に不安がっていたので、色々とアドバイスして安心させてあげた。

何しろ駅前の一等地を持っているのだから、こんなご時世とはいえ借り手が付かない事はまずない。

こうして1時間余り話して得られた情報をもとに、今後の提案内容を決めていくのだが、今回は地権者が7人ほどいるのと、まだ契約満了の告知を行っていないことから、作戦を変える必要があった…。

これがいつもの飛び込み風景なのだが、自分は初対面の地権者にも心を開いて貰える自信がある。

おそらく訪問に慣れているのと、全くガツガツしていないので警戒されないからなのだろうが、実のところ、自分は貪欲さがないため本当に営業らしい気配を出していないのである。これは明らかに欠点だ。

さらに、他の地権者の住所もわからなかったので、本当ならダメもとでも聞いてしまえばよいのだが、断られた時のフォローができないと印象が悪くなるのが嫌なので聞かなかった。

「こういうお得な提案があるので良かったらどうぞ」

「このままだとこうなってしまいますが、この提案を採用すればこうなります」

自分はあくまで控えめなスタンスだった。

極力スマートなスタイルを意識していたが、結局嫌われたくないだけなのだ。

それと、ゴールを意識していない行動が多いことに最近気付いた。

行き当たりばったり。少し考えれば想定できることも、実際に事が起こる直前まで気づかないことも多い。

おっと、話が思わぬ方向に逸れてしまった。

今日の訪問を振り返って、今後どうするべきかを考えていいたのだが…

そういうわけで今は、粗削りでもまずゴールを考えて行動するようにしている。

営業は結果がすべて。

あまり好きではない言葉だが、やはりその通りである。きれいごとはそろそろ終わりにしようということだ。

自分のビジネスを持ったら尚更である。

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