初、IT重説に挑戦!

いま仕事で、戸建の売買仲介業務を行っているのだが、もうすぐ売買契約締結である。

この取引、特に難しくもない普通の売買契約であり、当初は今年の初めには完了するはずだった。

ところが、あのコロナウイルスの影響で面談自粛&自宅待機になったことで、突如ストップしてしまったのである。

宅建業法では、不動産業者(厳密には宅建士)は、売買契約の前に買主に対面にて重要事項説明を行うことを義務付けているため、もう少しで契約というところで、面談ができなくなってしまったのだ。

仕方なく、「緊急事態宣言が解除されるまで待つしかない」と思われたが、そんな時に「IT重説」なるものの存在を目にする。

調べてみると、賃貸借契約については既に解禁されているこのIT重説が、売買契約においても社会実験として、要件を満たせばできるというのである。

早速、会社に上申して、IT重説登録事業者の登録申請を出した。

2週間ほどで許可が下りて、無事に社会実験としてのIT重説が実施できるようになった。

実施に当たり要件をいくつか満たさないと、重説として認められないものになってしまうため、少し注意が必要だが、要件自体はそんなに難しいものではないので、おそらく問題はないと思っている。主な要件としては以下のとおりである。

1.インターネットで重要事項説明を行うことについて、事前に同意を得ること(売主、買主とも。その際アンケートに回答いただくこと、重説中は録画をすることなどが条件である)

2.宅建士が押印した重要事項説明書を、事前に相手に送付しておくこと。(PDFでは不可)

3.宅建士証の提示(モニター上で相手に読み上げてもらう)

4.取引条件について、モニター上で確認することが望ましい。

録画・録音が必要なので、Skypeや、Zoomなどが適している。

とても簡単なため、近い将来、対面に近い効果を得られるIT上の通信が主流になる予感がする。

相続対策

今日は、とある地権者に対して、商業テナントによる事業用定期借地の提案を行った。

借地なので、通常であれば地代の多寡がポイントになるのだが、この地権者は近く発生するであろう相続を気にしていたことから、納税費用の捻出が課題になっていた。

そのため当初は、相続対策を提案したが、借り入れを起こすことに過度の抵抗があるため、好立地にもかかわらず資産圧縮手法が取れない状態からのスタートとなった。

もともとは当該地を売却して納税費用を捻出するつもりでいたようだったが、検討を重ねるうちに土地を手放さずに、前払い地代で納税費用が捻出できる可能性を探りたいとのことで、今回の提案となった。

前払い地代というのは、通常、契約期間中に支払われる地代を、一時期に一部、または全部まとめて支払うもので、平成17年から税法でも認められた手法で、賃借人は前払い地代として一時的にまとまった額を支払うが、一年ごとに費用計上できるメリットがある。また、賃貸人も同様で、一時所得にならずに1年ごとの収益計上できるので、双方にメリットがある。

しかし、借りる側からすると、店がオープンする前に先に地代を支払うことになるので、CF上はマイナススタートになるため、非常にハードルが高い。貸す側としても、中途解約の際は受け取った前払い地代のうち、未経過分は返還しなければならないリスクを伴う。

つまり、納税して無くなってしまった前払い地代の返還を要求される可能性が残っている。

そもそも、前払い地代を検討するに至った経緯は、過去に地権者が受けたマンション業者からの提案が、前払い地代で70年間の定期借地だったことに起因していて、これを店舗に応用できるのではないかと思ったことが始まりだ。

しかし、マンションの場合は分譲してしまうため、前払い地代を支払ったとしても、分譲完了時点で事業費を回収してリスクを購入者に転嫁できるため、立地さえ間違えなければ問題ないが、商業店舗の場合はリスクを負い続けることになるため同じようにはいかないのである。

この地権者の相続税は約6億とのこと。被相続人も既に100歳近い為、今から相続対策をする気力がないとのことで、家族会議で相続発生時には潔く納税することを選択している。

相続人本人も悔やんでいたが、もっと早く対策を取っておけばよかったと。

不動産コンサルとしても、相続対策でこれほど圧縮効果が得られるケースには滅多にお目にかかれないだけに、何とか安心させて効果的な相続対策を取って頂きたいと思う今日この頃である。

農地転用届

今日は、戸建ての古家を購入したい方からの依頼により、戸建ての所有者に売却の提案を行った土地の売買の話を書いてみる。なぜかというと家が建っているから宅地のはずなのに農地転用の届出が必要になったからで、備忘録もかねている。

なぜそうなったかと言えば、昭和40年ころに、現所有者が畑を取得して建物を建築。そのあと建物を増築するために追加で隣地を取得したのだが、この際、農地転用をせずに増築していたことが判明。昔は結構こういうケースがあったようで、農業委員会の担当者も、「では、農地転用届出を出してください」とサラッと言ってくるだけであった。

農地転用とは、その名のとおり農地を農地以外の用途に変えてしまうことなのだが、この場合に農地法の規制があって、事前に農業委員会に届け出る決まりになっている。

また、都市計画法の分類では、市街化区域と市街化区域外とに分けられており、市街化区域内は都市化を推進する区域なので、農地をなくす方向にあり、市街化区域外では農地を保護する方向にある。

このため、市街化区域外にある農地を転用する場合は、届出より厳しい許可が必要になってくる。基本的にこの区域では農地は保護されるべきものであるからむやみやたらに転用はできないことになっているが、幸い今回の農地は市街化区域内にあった為、届出で済んだ。

とはいっても、役所事であるから簡単にはいかないものである。今回は、所有権移転(売買)に伴う農地転用ということで、農地法第5条の届出というものになる。

ちなみに、所有権だけを移転する場合、つまり農地のまま売買をする場合、農地法第3条が適用され、営農者しか買えないことになっている。また、所有権移転をしないで、農地を他の用途に転用する場合は、農地法第4条が適用される。

話を戻して、今回の取引は、もともと宅地の売買だったはずだが、農地転用がされていなかったがために、農地転用というおまけがついてしまった。

しかも今回の取引は、売り主が何もしない条件であれば売却しても良いという条件で進めていたことから、最初は所有権を移転してから買主が農地転用をするつもりであった。ところが、そうすると、上記の通り農地法3条に該当することになり、買主は営農者ではないのでそもそも売買ができなくなってしまう。

これは困ったということで、やむなく売り主側で農地転用してから所有権を移転することになったわけだ。

しかし、売主が素人の為、直接申請ができないため、自分が代理で申請することになり、委任状やら、印鑑証明やらを用意してもらうことなった。

さらに、第5条申請は売主と買主が連名で申請を出す必要があるので、買主からも印鑑をもらう必要があり、買主が離島に転居しているため、船便でのやり取りとなったことで、余計に時間がかかることになった。

なんとか書類を整え、農業委員会の窓口に緊張の思いで赴いたが、無事に受け付けてくれた時には、深く安堵したものだった。

今回の取引は、戸建ての売買ということですぐに終わると思っていたが、ふたを開けてみると内容盛りだくさんだった。

ヤキモキした割に大した報酬は頂けないが、色々と勉強になったということで良しとしておこう。

テナントリーシング

自分の勤務先では、商業不動産をメインで扱っている。

具体的には、賃貸業がほぼ9割、仲介が1割程度。

賃貸業は、サブリースが8割と、取得が2割くらいか。

テナントとしては、いわゆるヤマダ電機とか、ニトリなどのナショナルチェーンである。

アパート・マンションの住居系では、約2年に一度、契約更新や退去が発生するが、店舗でも入退去はある。

ただし、店舗の場合は初期投資がかさむので、通常、一度契約したら最低5年~10年、または20年の長期間入居するのが一般的なので、アパマンほど頻繁に入れ替えがあるというわけではない。

現在、会社では大小合わせて30施設ほど運営しているが、コロナの影響で軒並み減額要請が来ている。

これまでであれば、減額要請などされようものなら、ゼロ回答をして、それが嫌なら退去頂いていたが、今度ばかりはそうもいかない。

何しろ、今やめられたら、後のテナントが見つかるかどうか全く見えないからだ。

テナントを探す作業は、テナントリーシングと呼ばれるが、このテナントリーシングが結構骨の折れる作業なのだ。物件の特徴に見合った業種に絞ったうえで、数多くのテナントに入居を打診するわけだが、これがいまだに電話・FAX営業なのである。

最近はようやくメールで紹介するようにもなっているが、一斉メールで送るわけにもいかず、各テナントに一件一件物件を紹介しているのが現状である。

とにかく効率が悪い。

うちの会社がまだ小さかった頃は、リーシング専門でテナントに物件を紹介して工事を請け負う事業をやっていけたが、収益が安定しないのが悩みどころだった。

最近では、インターネットのマッチングアプリが出てきたので登録しているが、まだ自動で候補をマッチングするものは見当たらない。

現場いる立場からすると、理想の機能はこうである。

 ①新規物件情報を登録 /テナント出店条件を登録。

 ②その物件に出店可能性があるテナントを自動でピックアップしリスト化

 ③ピックアップ先テナントに対し、物件資料を自動で送信

 ④希望テナントから連絡が入って、必要な場合は条件交渉から契約締結業務までを代行。

将来的には、契約書作成も自動化したいところ。

どなたか、こんなアプリを開発してくれませんか?

それとも、自動マッチングサイトを自分で作ってしまうか?

マンションデべ営業マンの話

とあるマンションデべからのTEL。

いつもどおり「売り物件ないですか!」との挨拶で始まったのだが…。

意外な始まり方である。

さすがに安定的な不動産業界とはいえ、今回のコロナの影響はかなりのものだろうと予想していることもあり、想定外に調子が良さそうなことを言い出すので、コロナの影響度合いを色々ヒアリングしてみた。

先月の不動産ニュースで、「4月の中古マンション成約、前年比半減」という記事に衝撃を受けていたことも思い出した。

「確かに先月までは自粛だったので、地権者への飛込や、販売活動などは一切やっていませんでした」

「今月から営業が再開したので、また今まで通り物件情報をお待ちしています」

とのことだった。

要するに、先月は対面での営業活動を自粛していたが、今月から再開したとのこと。

先月は仕入れも、販売もストップしていたようだ。

マンションの販売戸数が半減したとの記事は本当のようだ。

マンデベ業界も体力勝負である。

地権者との話のなかで

とある住宅展示場が閉鎖される情報をキャッチし、いつののように地権者を割り出して訪問した。

高齢の女性が出てきた。

「こんにちは…」

訪問主旨を伝えると、こんな時期にもかかわらず全く気にもせず、奥にいたご主人を呼びだしてくれた。

ご主人も、これまた普通に対応してくれたが、閉鎖されるという話は寝耳に水だったようで、かなり驚いた様子だった。

この方は専業農家だが、父親の所有地がたまたま駅の新設を伴った区画整理に入り、駅前の土地を換地されたことで、土地を貸せるようになっとてもラッキーな方だった。

訪問した経緯を説明して、所有地を借りたい商業テナントがいるので、もしまだ後継テナントが決まっていなければ紹介したい旨など、土地の有効活用の内容をひととおり伝えると、だいたい相手方から詳しく当時の経緯などを話してくれるのだ。

今回は、農家の方らしいやり取りだった。この方は不動産に関しては全く無知で必要以上に不安がっていたので、色々とアドバイスして安心させてあげた。

何しろ駅前の一等地を持っているのだから、こんなご時世とはいえ借り手が付かない事はまずない。

こうして1時間余り話して得られた情報をもとに、今後の提案内容を決めていくのだが、今回は地権者が7人ほどいるのと、まだ契約満了の告知を行っていないことから、作戦を変える必要があった…。

これがいつもの飛び込み風景なのだが、自分は初対面の地権者にも心を開いて貰える自信がある。

おそらく訪問に慣れているのと、全くガツガツしていないので警戒されないからなのだろうが、実のところ、自分は貪欲さがないため本当に営業らしい気配を出していないのである。これは明らかに欠点だ。

さらに、他の地権者の住所もわからなかったので、本当ならダメもとでも聞いてしまえばよいのだが、断られた時のフォローができないと印象が悪くなるのが嫌なので聞かなかった。

「こういうお得な提案があるので良かったらどうぞ」

「このままだとこうなってしまいますが、この提案を採用すればこうなります」

自分はあくまで控えめなスタンスだった。

極力スマートなスタイルを意識していたが、結局嫌われたくないだけなのだ。

それと、ゴールを意識していない行動が多いことに最近気付いた。

行き当たりばったり。少し考えれば想定できることも、実際に事が起こる直前まで気づかないことも多い。

おっと、話が思わぬ方向に逸れてしまった。

今日の訪問を振り返って、今後どうするべきかを考えていいたのだが…

そういうわけで今は、粗削りでもまずゴールを考えて行動するようにしている。

営業は結果がすべて。

あまり好きではない言葉だが、やはりその通りである。きれいごとはそろそろ終わりにしようということだ。

自分のビジネスを持ったら尚更である。